テストが終わって部活もまだ休み。
折角午前中で授業が終わったんやから、有効に使わなきゃ損やんか。
て、ついさっきまで盛り上がってたっちゅーのに…。
「サイアクや〜…」
夏の天気は気紛れや。
どっからか突然湧いたぶ厚い雨雲は俺等の都合など待ってくれる筈もなく、
無情にも大粒の雨を俺等の頭上から降らしおった。
極めつけは通り過ぎざまに泥水ぶっかけたトラック。
いくら暑いから水浴びでもしたいなとか言うたからて濡らしゃええってもんちゃうわ。
滝のように振ってきた雨のせいでこれはあんまりやろってくらいにずぶ濡れになった俺等はとりあえず目的地だった謙也の家に駆け込んだ。
テストの所為でお預けくらってたゲームをクリアしたろって話しやったけど、流石に今はそれどころやない。
これ、パンツまで濡れとるんとちゃうか?
「あーあ、もうグショグショや…」
「制服どないしよ。洗濯…ちゅうてもこの雨じゃ外に干されへん…」
洗面所でタオルを借りたものの、もはやタオルじゃ間に合わん位には濡れてもうた。
途方に暮れている俺を尻目に、謙也も窓の外見ながら途方に暮れとる。
「なにしとんねん。」
「洗濯。ユウジのも貸しや、洗う」
「別にええって、家で何とかするし」
「濡れたんほっとくと臭うで、泥跳ねもシミになるし。ええから貸しや」
布扱うこと多いからそれはようわかっとるつもりや。
出来ることならシミはさっさと落とすに限る。
家に帰って落とすより、今落としてもうたほうがええ。
「ほな、頼むわ」
「んーほな身体冷えんうちに風呂入りや。服は俺の貸すし」
「あ?お前どないすんの?」
「俺はユウジが出てからでええよ。夏でもそのままおったら風邪引いてまうで」
「いや、そんなんお前もやろ」
「俺すぐ着替えたらええし」
「せやったら…」
妙な押し問答の末、俺の口から出た言葉は
「一緒に入ったらええんやないか?」
て、言ってからえらいこと言ってしもたと気付く。
二人で風呂て。どう考えても意識してまうやん。
家の人誰もおらんのやで!素っ裸やで!二人っきりやで!
おまけに試験中でええ具合に禁欲中やったわけで。
どんな返答が返ってくるのかと思えば
「…せやな。そうするか。」
「めっちゃ砂出るわ…泥水めっちゃかぶったからな。ほんま腹立つあのトラック」
なんてぶつくさ言いながら何でもない振りして髪を洗ってみとるけど、実際隣が気になってしゃあない。
半分は、風邪引かすわけにはいかんっちゅうほんまの気持ち。
で、もう半分は期待と下心。
一応お付き合いしとる仲やし、謙也もちょっとくらいこの状況に期待しとるんちゃうかなって思ったけど。
なんやろ。俺だけなんやろか。
先に俺がシャワー使わしてもろて、謙也は半分湯を張ったバスタブの中。
謙也ん家の風呂は広い。男二人が入っても充分余裕のある広さや。
とはいえ、密室に恋人と裸で2人きりやぞ。平気な顔しよってちったあそういう気分にならへんのかいな。
半身浴ええわ〜ってどんだけ態度普通やねんっ!と心の中で突っ込んだけど
この時の謙也の言葉が既におかしかったんや。
「謙也、終わったで」
「ん〜ほな交代な」
あんまり悔しいから、俺と入れ代わりにバスタブから立ち上がった謙也に、ちょっとした悪戯心でちょっかい出したった。
すれ違い様に謙也の太股に撫でるように触れてやった、その瞬間
「ひぁっ!」
「うわっ」
いきなり甲高い声出すから驚いて見てみると、謙也は耳まで真っ赤にしとる。
そのまま下半身に視線を滑らすと、タオルに隠れた謙也のが若干反応をみせとった。
「謙也…もしかして勃っとる?」
「あ、その……」
よお考えたらこいつがのんびり風呂に浸かるなんて普通ならありえへんかった。
普段のこいつなら5分も持たずにはよせぇはよせぇ言い出す筈や。
最初からずっとタオルで隠しとったけど、もしかして結構前からこうなってたんやないか?
「俺と風呂入って興奮してた?」
「せ、せやかて…ふたりっきりやし…久々やしその…」
うわ、なんやこいつ。めっちゃ可愛え。
しっかり意識しとるやん。
「シたかったん?言うたら良かったのに。」
「やっ、て…お前普通に一緒に入ろうとか言うし…変な事考えてんの俺だけかと思って…」
アホか。
恋人と裸で二人きりでなんも思わんわけないやん。
けど俺は謙也にその気がないと思ってたから、変に気まずくなってもこの後困ると思ったからや。
でも、お互いそう思ってたなら。
「ほな、合意の上っちゅうことで」
俺はバスタブから半分出ていた謙也を再び中に引っ張り込んだ。
いくら広い言うても、バスタブん中は男二人が入るにはさすがにちょおキツい。
俺が下に座って、向かい合う形でその上に謙也を座らす。
「シよ。謙也。」
「ユウジ…」
返事の代わりに返ってきたキスを承諾の合図と捉えて、行為を進める。
日焼けしとらん白い胸やらわき腹やらを撫で回していると、すぐに謙也のは完全勃ち上がった。
まあ端からだいぶ興奮しとったみたいやしな。
「あ、あっ…ユウ、ジ…っ」
震えながら、謙也が必死に何かを訴えようとするから、少しだけ手を止めて聞いたる。
「何?」
「俺…まだ、身体…洗ろてへん…っ」
「……」
何を言いだすのかと思えば…そんなん別にええやんって、言おうとしたけど、ふと思い立って止めた。
良い事思い付いた。そんな俺はよっぽど悪い顔してたらしく、謙也は少し怯えた顔をする。
そういう顔も可愛えけど、もっと乱れさせてやりたい。
「ほなら、俺が洗ろたる」
「えっ!?ええよ。ええって。」
慌て逃げようとするけど、逃がすわけないやん。
謙也は俺の太股に跨ぐようにして膝たちになっとるし、腕は捕まえてるから簡単には立てへん。
さっき俺が使ったボディソープ、近くに置いて正解やったわ。
手に出した液体を手早く両手をこすり合わせて泡立てて、謙也の胸に塗りたくった。
「はぁっ、う…ああんっ」
びくびくと大袈裟なくらい反応してくれると、こっちもやり甲斐があるってもんや。
腰やら鎖骨やら首筋やら、謙也の弱いところを狙って擦ってやる。
いい感じに泡だったところで、俺は手を謙也の胸元に持ってくる。
そのまま両手をを左右に滑らせて、赤く立ち上がった乳首に擦るように触れた。
「ああっ!や…ユウジっ!それ、あかん…はう…ぅっ」
元々乳首は開発済みや、弱いんはよう知っとる。
泡でぬめっとる所為か刺激がいつもとちゃうらしく、謙也はめっちゃ気持ち良さそうな顔で喘ぐ。
何これ、めっちゃ色っぽいんやけど。
湯に浸かっとったから顔も身体も赤いし、目も潤んどるし。
風呂場やから声が反響してるし。
白い泡の中に謙也の赤い乳首が透けて見えてめっちゃエロい。
「あっ、あぅ…っ、ひぁっ、ユ、ジ…それ…あか…やぁっ!」
泡だらけの手で小さい突起を摘んでみても、ぬるぬるしとるからすぐに指から擦り抜ける。
謙也はその感覚が気持ちいみたいや。
嫌々言いながら、謙也の身体はびくびく震えてめっちゃ悦んでるのがわかる。
「あっ、やっ…駄目…それ…やぁんっ!」
「謙也のもうとろとろやな。乳首弄られて気持ちい?もうこれでイけるんとちゃう?」
謙也ちんこは先走りでもうぐちゃぐちゃや。ほんまにこのまま触らんでもイけるんやないかって思うくらい。
けど、謙也はそれじゃ物足りんらしい。
「嫌…ユウジ…無理…無理ぃ…っ、ちゃんと触ってやぁ…っ」
眉を寄せて、ちょっと泣きそうな顔。苛め過ぎたやろか。
「しゃあないな。ほなご希望通りに」
流石に可哀想やから泡が付いたまんまの手で謙也のを擦ったる。
先走りと泡の所為で触った瞬間からぬるぬるで、何度か繰り返し上下させると粘度のある泡が卑猥な音を立てた。
「ひっ、ああっ!はっ、ふああっ!!」
相当気持ちええのか、謙也は声を抑えることも忘れとる。
「も、あか…出るっ!ああっ!」
謙也の背が大きくしなって俺の胸に熱い液体を吐き出した。
なんや量多いし、えらい濃いんやけどこいつ自分でシとらんかったんかいな。
「うわ、凄いな謙也。溜まっとったん?」
「は…ぅ…やっ、て…テストで…」
勉強に忙しくてそんな場合じゃなかったと。
それにしたって、抜く時間くらいあったやろ。
って、思ってたら、イったばっかでとろんとした表情で謙也は言った。
「それに、自分でシても…こんなに…気持ちく、ない…し…」
なんちゅう殺し文句や。ほんま、可愛え。
「俺とシたかったん?」
「あ、あぅ…っ、ゆぅ…じ…」
尻に回した手をまさぐって煽れば、謙也は期待しとるような目で見つめてくる。
探り当てたそこに指を差し込んだったら、さっきイったばっかやのに、謙也のはまた硬くなっとった。
「俺の、此処にいれて欲しかったん?」
「…っ、ユウジ…あっ、ユウジのが、いい…っ」
「ほな、ちゃんと慣らさなな」
さっき吐き出された謙也の精液を指ですくって、泡と精液が混じったのを絡めた指を謙也の後孔に埋め込んだ。
謙也の中は熱くて、俺の指に絡み付くように動いとる。
二本、三本と、簡単に指を受け入れていくそこは、もう俺のも受け入れられそうなくらい柔らかい。
最初の頃は、指だけでもあんなに痛がっとったし、色気も何もなかったのに。
いつの間にこいつこんなエロくなったんやろ。
「ひっ…ああっ!ああんっ!」
突っ込んだ指が謙也の前立腺に触れたらしく、謙也は背を反らして悶えとる。
けど、この態勢だと上手いこと指を動かせない。
そのせいか、謙也は自分で腰を揺らして快感を得ようとする。
それを下から見上げとるわけやけど、そのさまがえらいやらしくて、俺も正直限界や。
「あっ、ああ…っ、ユウジ…ユウ、っあ!」
「謙也…もう入れてええ?」
「ん、あっ、え…え、はよう…っ」
「腰、浮かして」
謙也は言われた通りに腰を浮かせる。
けど、この態勢で俺から入れるのは無理がある。
「謙也、自分で入れられるか?」
「あっ、ん…そんな…っ」
恥ずかしいのか、謙也はふるふると首を振った。
「ゆっくり、腰落とし」
「うぅ〜………」
「せんのやったら出るで」
「まっ、待って…んっ……」
暫く戸惑うように視線を動かしとったけど、俺が動かんから観念したのか、謙也は自ら腰を落として俺のを体内に受け入れていく。
「く…っ、ぅ、ああ…っ!」
いつも俺が入れとるから、謙也からこうして動いてくれるのは初めてや。
いつもと違う感覚に、意識も理性も持ってかれそうになる。
「はっ、ああっ!ユウ、ジ…や…深…っ!あああっ!」
「く…っ」
浴槽の床で滑って踏張りがきかなかったらしく、一気に謙也の腰が落ちてくる。
いきなりすぎて俺もこれは結構ヤバい。
謙也の方も一気に奥まで入ったからかめっちゃ締め付けてくるし。
「あぁぁ―――――っ!」
「謙、也…動いて」
「や、無理…っ」
謙也自身、動こうとしとるんはわかるんやけど、やっぱり滑ってまうらしい。
けどやっぱ、もっと強い快感を得るには止まったままじゃ足りんくて、謙也は縋るように俺を見た。
「ユウジ…っ、ユウジっ」
「しゃあない。謙也、腰浮かして俺の肩しっかり掴んどき」
俺も正直このままじゃ生殺しやし。
謙也にさせんのも見てみたかったけど今回は俺がやった方がよさそうや。
謙也を俺に凭れさせて、腰が浮いた分俺のが謙也の中から抜ける。
「はっ、あ…」
「爪、立ててもええで」
それだけ言って、俺はこの体勢で出来るギリギリまで抜いた後一気に突き上げた。
「はああっ!あぁっ!ああぁん!!」
「謙也…っ、好きやで」
俺の肩に凭れてる謙也の耳元で、そう囁いてやればきゅうって締まったんがわかった。
「ああっ!俺、も…っああ!!ひあぁっ!!」
ビクンて、一際大きく背をそらしたと思ったら、また俺の胸に熱い感触。
謙也がイったんとほぼ同時に、俺も謙也の締め付けに耐えられず中に出した。
ぐったりと俺にもたれかかる謙也の身体は、まだビクビク痙攣してる。
「謙也…大丈夫か?」
「ん…あ…っ、力、入らんから…もうちょい、このまま…」
「ん…」
それが、事後の脱力感のせいだけでなく、謙也が俺に甘えてくれとるからやってわかるから。
もう温くなった湯の中で火照った身体を抱き締めながら余韻に浸る。
擦り寄ってくる俺よりでかい恋人が、可愛くてしゃあなくて。
髪に、額に、頬に、啄むようなキスをした。
「……」
事後処理を済ませて謙也を先に風呂から上がらせて、俺も片付け済ませて謙也の部屋に戻った。
そこには、下はアホみたいな柄の派手なパンツ、上はTシャツというなんとも言えない格好でベッドで眠る謙也がおった。
何やねんこの状況。もうどっから突っ込んでええのかわからん。
むしろもっかい突っ込んだろかって思ってまう。
若干痛む頭はのぼせた所為とはちゃうはずや。
ほんまにこいつはアホやなと思うけど、そんなとこも可愛ええとか思ってまう俺もかなり重症や。
「謙也〜…」
耳元で呼んでみるけど、少し身動ぎしただけで起きる気配はなし。
「ゲームどないすんねん」
そう、一応言ってはみたけれど、正直もうゲームなんざどうでもよくなっとって、謙也の隣に俺も寝転んだ。
ふわふわな猫っ毛の金髪をなでて、指に絡めて遊びながら、その安らかな寝顔にキスをして俺も目を閉じた。
テストがあけた後の部活もない夏の午後は、結局雨に降られてずぶ濡れになってエッチして昼寝して終わってしもたけど
まあ幸せやったしこれも有効活用っちゅうことで。
めでたしめでたしでええんちゃうかな!
〜fin〜