「ひっ、あぁっ!」

掌で包み込むように握られて上下に動かされると、さきっぽの方からぬるぬるした液体が溢れてくる。
その液体が、やたら濡れた音を立てて堪らなく恥ずかしい。

「はっ、あっ、あっ、なんか、変…っ」

身体も勝手にビクビクして、爪先から頭まで痺れるみたいな感覚が襲ってくる。
光の手がくぼみや裏の筋ところをなぞる度に恥ずかしい声がひっきりなしに漏れるけど、止められない。

「ひゃあぁっ、や、も、あかん、なんか、くるっ、出る…っ、でちゃう…っ」

何かが込み上げてくる感覚を必死に訴えるけど、光は手を止めてくれない。
寧ろもっと激しく扱いてきて、目の前がチカチカしてきた。

「あっ、あっ、光…っ、出る…っ!」

「ええよ、出して」

「ふっ、あっ、あぁぁぁっ!!」

光の爪の先が俺のちんこのさきっぽを軽く引っ掻いた瞬間、俺の身体はビクンと跳ねてちんこから何か飛び出した。
腹にかかったそれは白っぽく濁ってて、何かどろどろしとる。

「は…っ、あ……ぅ……」

「謙也さん、気持ち良かった?」

「お、ん……」

何だかよくわからないけど、えらい気持ち良かった。

「これがイくってこと。」

「イ、く……?気持ち良くなること?」

「そう。」

「ほな、光も気持ち良くしたる。」

散々恥ずかしいとこ見られたんやから俺も、て思ったのに、それは光に制止されてしもた。

「あかんの?」

「俺は、ここでイきたいんすけど。」

「ひゃあっ!?」

急に光の手が伸びてきて、俺の尻を触るから、思わずすっとんきょうな声を上げた。
ここって、まさか。

「え、ここ?って……」

尻の穴なんやけど。
え、なにそれどういうこと?
ここに、光のが入るってこと?

「謙也さんと繋がりたい。」

はっきり言われて、光が冗談を言ってるわけやないことはわかった。
こんなとこに、ほんまに光のが入るんやろか。

「嫌……ですか?」

「……」

思ってもみなかった数々の行為に翻弄されて、感じた事のない快感を与えられて、正直戸惑ってはいるけれど。
この行為を不快に感じたりはしていない。
寧ろ心臓がドキドキして、もっと触ってほしいと思ってる。
俺も、光に触りたい。光に気持ち良くなってほしい。だから

「ええ、よ。」

「ほんまに?」

「おん、俺も光と、その、繋がりたいから。」

「謙也さん」

光は額やら頬やら胸やらにいくつもキスを落としてくれる。

「ひ、光……っ」

「嬉しい、謙也さんおおきに。」

光がほんまに嬉しそうに笑うから、俺の胸の中がふわっと温かくなる。

「いっぱい愛したりますからね。」

「うん、うん……っ」

怖くないと言えば嘘になるけど、光とならどんな事でも大丈夫な気がした。
光は何かの瓶を取り出して、その液体を自分の指や俺の尻に垂らしてきた。

「ひっ、あ、冷た……っ」

「すぐ温くなりますからね」

言われた通り、垂らした液体は体温ですぐ温くなる。
ぬるぬるした指が、俺の尻の穴に触れて身体が跳ねた。

「ん……っ」

「力、抜いてくださいね」

「お、ん……」

息を深く吸って吐いて身体の力を抜くと光の指先が俺の中に入ってきた。

「ん、あぁっ、はっ、あ……っ」

さっきの液体で濡れているせいか、指はぬるぬるしていてゆっくり奥に入ってくる。
気持ちいいとは言い難い感覚、苦しくて違和感は半端ない。
一本入ったら、続いて二本目が中に入ってきた。

「ああっ、くっ、う……っ」

指が増えて苦しさも増す。
二本目が根元まで入ったら、光はそれを少しずつ中で動かした。

「や、あ、あっ、んぅっ、ひぁっ!」

ゆっくりと拡げるように中を掻き回されていく、そして余裕が出来たところにもう一本指が増えた。

「は……っ、あ、うぅ……っ」

痛いし苦しいし気持ち悪い、でもそれさえも光に与えられていると思えば悦びになった。
言葉になっていない声を漏らす俺に、光は常に優しく名前を読んで、大丈夫かとか痛くないかとかしきりに声をかけてくれた。

「はっ、あ…っ、あっ、ふ…っ」

ふと、光の指の動きが初めと変わっている事に気が付いた。
指を入れるための解すような動きから、何かを探すような動きへ。
そしてその指がある一点を掠めた時、電気が走ったみたいに身体が跳ねた。

「ひあぁっ!!」

痛みや苦しさの中に生まれたのは腰が砕けるような快感で、それを探し当てた光は嬉しそうに笑ってソコばかり擦ってくる。

「ひゃ、や、ソコ、あかん…っ、変…っ、あぁっ!」

一回イった後元に戻ってた俺のちんこはいつの間にかまた起ちあがっていて、さきっぽからまたあの透明な液体が溢れてくる。
明らかに最初と違う感覚、気持ち良くて、もっと擦って欲しい。

「はっ、あっ、光…っ、あ、んっ!」

「気持ちイイ?謙也さん」

「あっ、んっ、気持ちい…っ、あっ、ひあぁぁっ」

身体が自分のものじゃないみたいにビクビクして、ヤラシイ声が止まらない。
けどそんな声も、もう恥ずかしいなんて思う余裕はなくて。
身体が感じる快感に素直に溺れていった。

「はっ、あぁっ、ひぁっ、あっ…?」

不意に光が指を引き抜いて、思わず間抜けな声を漏らした。
もっと擦ってほしいのに。
そう思って光をみれば彼は余裕のない表情で俺を見ていて。
その表情があまりに格好良くて、胸が高鳴った。

「謙也さん、ええ……?」

それが今までと違う、さらに先の事をするための確認だということはわかった。
それは光を受け入れるということ。光と繋がるということ。
きっとめっちゃ痛いと思う。
指で痛かったんや、光のはその比じゃない。
でも、それでも、俺は光と一つになりたい。

「ええよ。きて、光。」

せやから俺は、思い切り笑って腕を広げた。
光は一度俺をぎゅっと抱き締めて、額や頬や首筋にキスを落とす。
光なりに俺をリラックスさせようとしてくれとるんやろ。

「おおきに、謙也さん。力抜いとって。」

「おん」

一度指で慣らされとるから、力の抜き方はなんとなくわかった。
深く息を吸って、吐いて、光を受け入れるために心を決める。

「ええよ、光」

「謙也さん…っ」

尻に光のが当たったのを感じた後、光のがゆっくり中に入ってくる。

「はっ、あ……っ、い……っ、うぁぁぁ……っ!」

想像以上の痛みやった。
痛みなんて、人間になって初めて経験したからあんまり知らんかったけど、こんな痛いこと初めてや。

「はっ、はぁっ、あっ、うぅ……っ」

ぼろぼろ涙が零れて、光はそれを一生懸命指で拭ってくれる。

「ごめん、ごめんな謙也さん…っ、痛いやんな…?ごめん…」

「だい、じょぶ、やから…光……っ」

俺よりよっぽど辛そうな顔で光が謝るから、痛いのになんだか笑ってしまった。
痛いこと、苦しいこと、気持ちイイこと、この行為で光が教えてくれようとしてるのは、きっとそんな肉体に感じる感覚だけやない。
「はっ、あぁぁっ、い、あぁっ!」

光と繋がる喜びとか、胸に溢れる愛しさとか、傍に居られる幸せとか。
きっとそういう気持ちを、光は教えてくれとる。

「光っ、ひか、っあ…っ!」

「謙也さん…っ、好きです、ずっと、俺の傍に居って」

「おん、俺も、あ…っ、光が…あぁっ」

痛みの中に生まれ始めた快感。
奥を突き上げられるたびに突き抜ける快感に、言葉が喘ぎに変わってまいそうになる。
けどこれだけはちゃんと、光に伝わるように。

「光が、大好きやで…っ」

「謙也さん……っ」

「は、あぁぁぁっ!!ア…あぁぁぁ!!!」

「……っ」

身体の奥で広がる熱と、俺の頬に落ちてきた、温かい雫。
細められた光の目から、次から次へと落ちてくるそれが堪らなく愛しい。
嬉しい、て、言われてるみたいで。
溶け合うように俺たちはお互いに溺れていった。






事後の処理を済ませて、俺たちは布団の中で裸で抱き合っている。
むっちゃ心臓ドキドキしとるんやけど、やっぱ壊れそう。

「謙也さん」

「ん?」

「何処にもいかんといてくださいね。」

「行かへんよ。行くわけないやん。光と生きるって言うたやろ。」

「おおきに、謙也さん。」

光とずっと一緒にいたい。
光と一緒に生きていきたい。
これから先もずっと、一生、光を愛していくから。

「光……、愛しとるよ、ずっと、ずっと」

「おん、俺も愛しとる、絶対謙也さんを幸せにするから……一緒に、幸せになりましょうね」

俺は今めちゃくちゃ幸せやのに、これ以上幸せになってええんやろか。

「あんたは今まで、人の幸せばっか願ってきたんや。これからは自分の幸せを願ってええんやで。」

「俺の幸せは、光と一緒に居ることやねんで。」

「そんなん、俺も同じっすわ。」

それなら俺等は、一緒に居る事で幸せになるんやな。

「光の幸せは、俺の幸せや。」

「謙也さんの幸せは俺の幸せっすわ。」

光と出会って心を持って、恋をして、人間になって、たくさんのことを知った。
愛しさや切なさ、悲しみや幸せ。
けどそれに限界なんてないから、俺はこれから先もずっと光と一緒に、この世界を生きていく。

〜fin〜

2012/3/29