「ひ、光…っ、も、嫌やぁ……っ!」

ああ、あんな事言うんやなかった。














休日の俺の部屋、まったりとした雰囲気の中で光が不意に口にしたそれが、全ての始まりだった。

「謙也さん知ってます?男でも開発すると乳首だけでイケるらしいっすわ」

何処で仕入れてきたのか、光が口にした俄かには信じがたい情報に俺は苦笑した。

「えーほんま?でも俺はそれはないと思うわ。」

「やってみなわからんでしょ。」

「ならんてー」

「ほな、試してみましょか」

その言葉に突っ込みを入れる間もなく、俺は両手をまとめあげられ床に押し倒され放置してあったタオルでベッドの足に括り付けられた。
自由にならない腕では抵抗も出来ないまま、あっさりとTシャツを捲りあげられ曝け出された俺の胸には小さな突起が2つ。
光はそれを見て楽しそうに笑っている。
やばい、やばい!頭ではわかっとるけど、伸ばした膝の上に乗っかられて身動きがとれへん。

「ちょっ、光っ!嫌やて!」

「ええやないですか、たまにはこんなプレイも。」

「こんなプレイて、ひっ!」

右の乳首をきゅって摘まれて、変な声が出た。

「あ、感じました?」

「感じてへん!や、ちょっ、くすぐったいて……っ」

人差し指の腹で転がすように弄られて、くすぐったくて身を捩る。
けど、光はしつこく追い掛けて乳首を弄り続けた。

「ふあっ、あっ、やめ…っ、ややって……っ」

「謙也さん、嫌々言うとるけどここ、たってきとる。」

「そんなん、光が……っ!」

「乳首弄られて感じてもうた?」

「感じてへんって…っ!」

「強情やなぁ」

言いながら、光は俺のズボンを下着ごと下ろした。
僅かに膨らんだ自分のちんこを見て、途端に顔が熱くなる。
雰囲気のせいや、そうに決まっとる。
断じて乳首触られたせいやない。
頭の中で必死にそんな言い訳をしとったら、今までほったらかしになっていたもう片方もきゅっと摘まれた。

「っあ!やぁ……っん」

「反対側も弄ったりますわ。」

光は左の乳首を摘んだ指を擦るように動かしてきた。
左右からの違った刺激に、背中がぞくぞくして思わずぎゅっと目を閉じる。

「うあっ、や、あぁっ」

弱い力で続く刺激がもどかしい。
こんなんでイケるわけあるか、て思うのに、ちんこは段々立ち上がって芯を持つ程硬くなってきた。

「あ、もしかして痛い方がええです?」

「は?なに、ひやぁっ!」

光は思いついたようにそう口にすると、いきなり乳首を摘む指に力をこめて強く引っ張った。
びくって身体が跳ねて、生暖かい感触が内股を伝う。

「は、あっ……痛ぁ……っ」

「濡れてきとる、今の良かったんですやろ?」

「よおない……っ!」

「嘘、こんな我慢汁漏らしてよお言うわ。」

「ひぁっ、や、あかんそれ…っ、やぁっ」

摘んだり引っ張ったりを繰り返されて、乳首がじんじん痛み出す。
けど、身体はそのたびにビクビクと跳ねて、ちんこの先端からは先走りが溢れてくる。

「はっ、あっ、光…っ無理、イかれへんって…っ、あぁっ」

イキたいのに、張り詰めてて苦しいのに、光は乳首を弄る手は止めないのにちんこは一切触ってくれへん。
いつもみたいに扱いて先っぽ擦ってほしいのに。
もどかしくて苦しくて、息があがって涙が零れる。

「はぁっ、光……も、無理ぃ……っ、前、触って…っ」

「うわ、謙也さんめっちゃエロい。めっちゃ可愛え……っ。けどすんません、今日はこれでイかすまで触らないて決めたんで。」

何勝手な事言うとんねんて頭では思うけど、それを突っ込む余裕は今の俺にはない。
今はとにかく早くイキたくて、足を動かしてどうにか快感を得られないかと試行錯誤する。
けどそれも上に乗っかった光の身体で押さえ付けられとるからろくに動かせない。

「ひか、も、ほんまに…ひあっ!」

不意に感じた生暖かい感触に驚いて変な声がでてまう。
何かと思えば、光が俺の胸に顔を寄せて乳首を舐めあげとった。

「やっぱ素質ありますよ、謙也さん」

「ひ、やぁ……っ、あぁっ」

何の素質やねんなんて突っ込みはやはり頭の中だけで、胸に吹き掛けられる熱い息やら啄むようなキスやらに翻弄されるばかり。

「ふぁ……っ!」

そしてそのまま強く吸われた時、僅かに何か込み上げてくる感じがして、ちんこからトロトロ精液が溢れた。
いつもみたいな勢いはないけど、確かにイった。
あんまイった気せえへんけどもうええやろ。
はよこれどうにかしてくれ、て思って光を見れば、まだせっせと乳首を舌で弄っとる。

「光っ、もうええやろっ!?も、はよちゃんとイかせて……っ!」

「んー、もうちょい」

「何が…っ、あっ!?」

光が片方の乳首を甘噛みして、もう片方を爪の先で乳首をカリッて引っ掻いたその瞬間、身体が大きく跳ねる。
今までと違う、身体が勝手にビクビクして頭の中が真っ白になって、何も考えられへん。

「ふあぁっ!何か、変っ!あっ、やっ、あぁぁぁっ!!」

強烈な快感と共に飛び出した精液は俺の腹に飛び散った。
熱い飛沫が頬にまで飛び散って伝ってくのは感じたけど、頭がぼんやりして身体がふわふわしとる。
乳首だけしか触られてないのに、ほんまにイってまうなんて。

「は……あ……っ」

「ほんまにイケるんすね、謙也さん、気持ち良かった?」

なんやまだ頭ん中ふわふわしとって、もう恥ずかしいとも思えなくて、俺はただ頷く事しかできんかった。
確かに気持ち良かった。
今まで感じたことのない感覚やった。
けど、やっぱ俺は

「光……、俺今度はちゃんと、光のでイキたい……」

光の熱を身体に感じて、光と一緒に気持ち良くなりたい。
そんな想いでその言葉を口にすると、光は腕を拘束していたタオルを解いてぎゅうって抱き締めてきた。

「謙也さんほんま可愛いすぎっすわ」

ぎゅっと抱き合って、光の熱を体内に感じて、俺たちはいつものように互いに溺れていった。














「やっぱ素質ありましたね、謙也さん。」

「もう止めろて!」

「やってめっちゃ感じとったやないですか。引っ張った時ちんこでかなったし我慢汁だらだ」

「あーもうええ加減にせえ!」

行為を終えて、脱ぎ散らかしていた服を着こんでいる傍から、光は俺の痴態を楽しそうに語ってくる。
感じたんは確かや、確かやけどこの辱めは耐えられへん。

「もう、ほんまに堪忍、ん…っ」

被ったシャツが俺の胸、っていうか乳首を擦った瞬間、ピリッとした刺激と共に変な声が出た。
その感覚に、一気に顔が熱くなる。
まさか俺、こんな布ごときで。

「謙也さん?どないしはったんですか?」

光が不思議そうな顔をして俺の顔を覗き込む。
あかん、これはまずい。

「や、今のはなんでもっ」

「……謙也さん」

顔に向いていた視線が下へと下がる。
あかんあかんほんまにこれは。

「ひ、ひか……っ、これはその……っ」

「乳首、たってますね。」

「せ、せやからその……っ」

「もしかして謙也さん、シャツで擦って感じてしもたん?」

「ああぁぁぁぁっ!!言うなやぁぁぁぁ!!」

認めたくない事実をあっさり口に出されて羞恥に打ちのめされとる俺を見て光はにやにや笑うとる。
どないすんねんこれ、光のせいやで。
あんな風にしつこく触ったり摘んだり引っ張ったり舐めたり吸ったり噛んだりするから。
あかん思い出してきた。

「乳首感じるようになるとちんこより良おなるらしいっすわ。これからもっと気持ち良おなるように開発していきましょうね。」

「うう……」

けど光に触られた時の、あの感覚は思いの外気持ち良くて、ちょっと癖になりそうな自分が居る。
たまに、ほんまにたまになら、こんなんもありかも。
なんて……

「あっ、そうそう。乳首弄り続けると肥大してわかる人はすぐわかるらしいっすわ。
そうなったら謙也さん、もう人前で乳首見せられへんなぁ。」

そう言うた光は滅多に見られない満面の笑顔を俺に向けた。
前言撤回や。初めからそれが狙いやったんやろこいつ。
俺は己の乳首を全力で死守する事をこの胸に誓ったのだった。


〜fin〜
2011/12/21